54年前の倶知安
東京で11月に雪が降るのは54年ぶり、積雪状態になったのは明治8年の観測開始以降初めてというニュースが流れています。54年前の冬といえば昭和37年から昭和38年にかけて。日本海側の地域を中心に各地で記録的な豪雪となった「三八豪雪(さんぱちごうせつ)」の年です。
本当は当時の天気図でも見てみたいところですが、すぐに探せるところにいないのでこちらはあきらめて、気象庁のホームページから当時(1963年冬)の倶知安の気象がどんなだったか調べてみました。
こちらの図は11月1日から3月末までの最深積雪の推移を示したものです。青線で1963年の値を、紫の線で今の平年値を、緑の線で昨冬の値を示しています。
特筆すべきは11月半ば過ぎから一気に積雪が増えて平年の4倍以上の積雪を記録していることです。11月中に積雪が90pにも達し、平年の正月頃の雪の量になっています。そして、その後どうなったか? 年明けからは雪があまり降らなくなり、一貫して積雪が平年を下回っており、3月の雪解けも早かった様子がわかります。雪の少なかった昨冬と比較しても積雪は少ないくらいです。
こちらの図は11月1日から3月末までの日平均気温の推移を示したものです。青線で1963年の値を、紫の線で現在使われている平年値を、緑の線で昨冬の値を示しています。
1963年冬の気温は平均すると今の平年値とほぼ同じですが、11月後半はかなり寒かったことがわかります。11月や1月に時折スパイク状に低い値を示していますが、これは放射冷却による低温が日中にも残って平均気温も極端に低くなっているものと考えられます。寒気にどっぷりおおわれて寒いけど晴れて穏やかな日だったのでしょう。
昨冬の値と比較するとずいぶん寒い冬だったことがグラフからもわかりますが、当時の「平年」と比べるとむしろ暖かい冬といえるかもしれません。
「三八豪雪」の年でも北海道では必ずしも「寒冬」ではなく、倶知安では雪もむしろ少なかったことがわかります。54年前との比較だけで、この冬がどうなるかなんてことを予想することはできませんが、11月から極端に寒いような年はスキーヤー・スノーボーダーにとってはあまりうれしくない冬なのかもしれません。