2022~23シーズン/ニセコの冬まとめ

12月上旬から2月上旬にかけて気温の低い日が多く、降雪量もやや多くなった。積雪は概ね前年と同様の経過をたどり、2月にかけて平年より多い状態が続いた。3月以降は記録的な暖かさとなり雪解けが進んだ。

はじめに

ニセコの2022~23冬シーズンはコロナ禍の影響もやわらぎ、コロナ前ほどではないものの、海外からのお客さんも戻って、スキー場や周辺でもハイシーズンには賑わった。12月に入ると一気に気温が低くなり、まとまった降雪となる日も多くなって、2月までは前シーズン同様に雪の多い年となった。一方、3月以降は記録的な暖かさとなり、寒の戻りもほとんどなく、急速に雪解けが進んだ。以下、詳しくデータを検証してみたい。

樺山観測所の積雪・降雪推移

この図はひらふスキー場に近い倶知安町樺山の自宅の庭で測っている積雪と降雪のデータ。棒グラフは2023年の日々の降雪量、折れ線グラフが今シーズンと過去4年分の積雪推移、Ave.として示している線はここで観測した15シーズン(2007年~2022年、ただし2009年は欠測)分の平均値である。

12月に入ると同時にまとまった降雪となるの日が続き、2月下旬にかけて雪の降らない日はほとんどなく、降雪・積雪ともやや多くなった。シーズンの最深積雪は2月26日の258㎝と15シーズン平均の243㎝より多くなった。

3月に入ると一気に暖かくなって、寒の戻りによるまとまった降雪もなく、記録的な速さで融雪が進んだ。記録のある15シーズンの中で最も雪解けの早かったのは2020年だが、この年の最深積雪は139㎝で、今年はそれより1m以上多かったにも関わらず、2020年とほぼ同じ時期に積雪0となっている。

なお、シーズンを通した総降雪量は1326cmで、15シーズン平均の1327㎝とほぼ同じであった。

倶知安の積雪・降雪推移

この図(3種)は札幌管区気象台のホームページ(http://www.jma-net.go.jp/sapporo/tenki/kansoku/snow/snowmap/index.html)から閲覧できる倶知安の日降雪量、日最深積雪、累積降雪量のグラフである。

図の中段、日最深積雪のグラフから、2月までは、今季は昨季とほぼ同じように平年より積雪の多い状態が続いたことがわかる。一方、3月以降の積雪の減少は急で、雪解けが早かったことがわかる。図の下段、累積降雪量を見ると降雪量は、今季は昨季とほぼ同じで3月上旬までは平年並みかやや多く、それ以降は平年より少なくなっている。

旬別の気温・降雪

この表は旬別に倶知安の最高気温、降雪量と札幌上空の気温を平年との比較で示したものである。850hPaはおよそ上空1,300m付近となり、概ねアンヌプリ山頂くらいの高さの気温。500hPaはおよそ上空5,200m付近となり、冬の雪雲の雲頂くらいの高さの気温である。右側の列には平年差を示していて、平年より高い期間は赤で、低い期間は青で塗りつぶしている(ただし、降雪量は少ないとき赤、多いとき青)。

表の下に記した値は12月~2月(DJF)の平均、11月~3月(NDJFM)の平均、11月~4月(Total)の平均(降雪量は期間合計)である。

12月上旬から2月上旬にかけて地上、850hPa、500hPaともに概ね気温が平年より低く、降雪量も多くなっているのがわかる。12月から2月の集計結果(DJF)を見ても、この傾向が明らかである。

一方、11月から3月(NDJFM)、11月から4月(Total)の集計結果を見ると気温は平年より高く、降雪量は少なくなっている。

冬のハイシーズンに強い寒気が入ること多く、生活実感として雪が多く、厳しい寒さの冬だったと感じた人が多かったと思われる一方で、春の訪れは早く、寒の戻りもほとんどないまま、記録的に速く雪解けが進んだシーズンであった。